ドライアイ・アレルギー性結膜炎

ドライアイ

ドライアイってどんな病気?

ドライアイは、目を守るのに欠かせない涙の量が不足したり、涙の質のバランスが崩れることによって涙が均等に行きわたらなくなる病気であり、目の表面に傷を伴うことがあります。いわばドライアイは涙の病気といえます。高齢化、エアコンの使用、パソコンやスマートフォンの使用、コンタクトレンズ装用者の増加に伴い、ドライアイ患者さんも増えており、その数は2,200万人ともいわれています

正常な目とドライアイの目
正常な目の表面とドライアイの目の表面

ドライアイでつらい目の症状は?

ドライアイ患者さんは、目が乾くなど典型的なドライアイ症状だけでなく、様々な症状に悩まされています。

ドライアイチェックシート

ドライアイの検査

目の傷の有無・程度を探る顕微鏡検査

目の表面の傷を見る検査です。 フルオレセインという黄~橙色の試薬を点眼すると、角膜(黒目)の傷のある部位が染まります。 細隙灯顕微鏡で染色部を観察しながら、傷の有無や程度をチェックします。

涙の質を調べるBUT検査

涙がたくさん出ても、質が良くないために目の表面がすぐ乾くこともあります。涙の質を調べる検査で、目を開いてから目の表面の涙の膜が破壊されるまでの時間(BreakUpTime)を測ります。BUTが5秒以下の場合、ドライアイが疑われます。

薬の処方・治療

ドライアイの治療薬

従来は、水分を補給し、傷ついた角膜を修復するタイプの目薬が使用されていました。最近では、涙の各成分に直接はたらきかけるタイプの目薬が開発されたことにより、ドライアイ患者さんごとの涙のタイプに応じて、正常に機能していない涙の層をターゲットとした層別治療が可能になりました。※涙は「水分」と「ムチン」という物質によって構成されており、両方のバランスの良い涙が質の良い涙と、といわれています。ムチンは、水分を目の表面にとどまらせるなどのはたらきを担っています。

涙点プラグによる治療

ドライアイの層別治療

点眼液で効果が得られない場合は、涙点閉鎖による治療を行います。 涙の排出口である涙点を閉じ、涙の流出を抑えて、涙を目の表面に十分にためる方法です。涙点にシリコンや合成樹脂製の涙点プラグを挿入します。

アレルギー性結膜炎

アレルギー性結膜炎の種類と症状

アレルギー性結膜炎の種類と症状

アレルギー性結膜炎とは、目の表面に花粉などのアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)が付着して、結膜に炎症を起こす病気です。結膜とは、まぶたの裏側と白目の部分を覆っている粘膜のことです。

花粉などが原因の、特定の季節にのみ症状があらわれるものを季節性アレルギー性結膜炎といい、一年中症状がみられるものは、通年性アレルギー性結膜炎といいます。重症のものでは、子どもに多くみられる春季カタル、ソフトコンタクトレンズを使っている人にみられる巨大乳頭結膜炎などがあります。

アレルギー性結膜炎の症状

アレルギー性結膜炎では次のような症状が引き起こされます。

  • 目のかゆみ
  • 目の充血
  • 目の異物感
  • 目やにが出る(涙のようにサラサラした水状のもの)
  • 涙が出る
  • まぶたの裏にぶつぶつができる

アレルギーを引き起こす原因物質とは?

私たちの身体には、体内に入ってくる異物を排除しようとするはたらきがあり、このはたらきのことを免疫といいます。本来、花粉などは異物と感じないしくみになっているのですが、アレルギー体質だと異物と認識して、免疫反応がはたらいてしまいます。この過剰な反応のことを、アレルギー反応といいます。
主なアレルゲンには次のようなものがあります。

  • スギ花粉(時期:1~5月)
  • ヒノキ花粉(時期:3~5月)
  • カモガヤ花粉(時期:5~7月)
  • ブタクサ花粉(時期:8~10月)
  • ハウスダスト(チリ、ホコリ、ダニ、カビなど)(1年中)
  • 動物の毛(1年中)
  • コンタクトレンズの汚れ(1年中)

アレルギー症状のしくみ

アレルギー反応が起こると、肥満細胞という細胞から、ヒスタミンなどの物質が大量に放出されます。これらの物質は、目の知覚神経や毛細血管などを刺激して、強いかゆみや充血などの炎症を引き起こします。

アレルギー症状のしくみ

アレルギー性結膜炎の治療方法と対策

眼科で行われるアレルギー性結膜炎の治療の基本は、薬物療法となります。薬物療法の目的は、日常生活に支障がないように、かゆみの症状を軽くすることが中心となります。
治療には、抗アレルギー点眼薬(抗ヒスタミン薬、ケミカルメディエータ遊離抑制薬)が、主に使われます。重症の場合には、ステロイド点眼薬や免疫抑制点眼薬などを使用する場合があります。

花粉症とスギ花粉の飛散量

花粉症とスギ花粉の飛散量

今や3人に1人が何らかのアレルギー疾患を持っているといわれています。特に、花粉症に悩む人は毎年増え続けています。この理由の1つに、花粉症の原因となるスギ花粉の飛散量が増えていることが指摘されています。
スギ花粉の飛散量は、前の年の夏の気候に大きく影響されます。猛暑で雨の少ない夏の翌年は、花粉の飛散量が多くなるといわれています。また、花粉が飛び始める時期は、1~2月の気温に影響されます。この時期の気温が高いと、スギの花芽の活動が早まり、花粉も早くから飛散するといわれています。天気予報や花粉情報に気を付けて、早めの対策を心掛けましょう。

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